互選決定詩「わたしの埋葬」
わたしの埋葬
ぬいぐるみで埋もれた私と私の部屋
あの中には、「私は負けたの」って言葉が
こんがらがって詰まっている
今夜 初めて熱気を感じたから
久々にクーラーをつけてみました
息があふれて久しぶりだったから水が垂れて
初めて買ってもらったあのイルカはやっと
水を吸えたのでした
徐々にみんなにうもれていくことを
みんなそうやって受けてくれるはずなのに、
私は綿あめみたいにからめとられてゆく。
私が眠ればくまさんが回想を食べ始め
朝の色は 褪せたぬいぐるみの色にそっくり
だれかがまたわらってる
作者:桃ヶ山心一朗 氏
作者コメント:
私は普段なにか制約や縛りを設けて詩を書くということをしないため、テーマが先にある状態での詩作は新鮮でした。
今回のテーマは「負け」でしたが、このテーマにアプローチするうえで「負け」の持つ二面性に注目しました。一方はもちろんマイナスな面ですが、他方で「負け」にはプラスな面もあると思います。負けを認めたあと自分の殻に引きこもって感傷に浸るとき、人は自分の核となる大切な部分に向き合い、それを愛でてあげようという気持ちになりはしないでしょうか。そしてこれは次に繋げるうえでもとても大切な時間だと思います。そういった淡くて優しい雰囲気を醸し出すモチーフとして「ぬいぐるみ」「綿あめ」といった言葉を使い、これらを中心に詩を書いてみました。
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