郊外電車

在田稠

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ひらかれた窓からは 綠と金の光りが一ばいだ。 豐滿な實りにうなだれた黍や燕麥の間を 驀地に走つて居る。 こゝろよい動搖、 紺靑の空、 湧く白雲、 うなだれた黍や燕麥をゆるやかにおじぎさせ る微風、 物皆が笑み、 光り、 輝き そして、 乘客の喜悅と微笑を載せて オクターヴを越える鍵 黑く暗く 一杯に蔽ひ冠さつた惱み 此の場合たゞ沈默と持久とのみだ。 重たい鐵の鎖につながれた心 ひきづつても、 ひきづつても 果しなく續く惱み、 あゝ、 しかし堪えろ、 堪えろ 汝の忍苦! それは汝の心を〓め、 汝の心を深め、 汝の心 を宏大ならしむるものだ。 黑く暗く、 大きな翼の如く擴がつた鐵色の惱 みよ。 汝はその下に在つて、 堪え忍ぶことだ。 試煉を經、試煉を經······そして磨かれるのだ。 忍苦··· ··煉煉········そこに汝のオクターヴを越 える鍵がある。 ミレー傳を讀みて ミレー傳を讀めば われミレーの如く、 ゴーグ傳を讀めば われゴーグの如し。 その何れか? その何れでもあり 何れでも無いのだ。 迷へ迷へ迷へ 迷つて破壞されて崩れて········ 其處に自己建設の第一步が來る。

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