初夜行

半谷三郎

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とんび一著 衿卷は要らぬ 足掻きを縛らぬ手輕な身装らへに 一月の子供じみた〓新の氣をはづませて 凛としてひとり互寒の初夜を步いてゆく いぢけた冬の陽色はなく 世界は黑鐵の截斷面- 月は遠く孤高を揚げて媚びを賣らず あたりに踝跟にかかる感傷の靑草はない 只管駒下駄を鳴らす烈烈たる凍土の上である 直として歩む道路の果は 夜の川- 蒼蒼と凍てゆかうとする黝い流れ 流れを躍る一架の船橋 身は仙として輕く氣中に浮かび 流水と夜氣と淙淙として足を 抄つて往きぬける その稚い虛懷高揚の神を怡しまうと 一月の子供じみた〓新の氣をはづませて 凛としてひとり沍寒の初夜を步いてゆく...

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