路傍の石を凝視して

加藤介春

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道ばたにおちてゐるたゞ一つの石ですら、 それを拾うてわれとわが胸におし當てたくなる。 道ばたにおちてゐる石はつめたい 164 うすぐらい風におもてを吹かれてゐたから。 またその石はじめ〓〓と濡れてゐる、 あをざめた星のひかりをあふいでゐたから、 おち葉がくらい地をつとうて來て、 何事かこそ〓〓とさゝやきかける。 或時はまたどこかはるかの遠い〓〓世界から、 見知らぬかげがさしてきてさびしく映る。 路傍の石はたゞひとりさびしがつてゐる、 そして無言をつゞけてゐる。 おゝそれは天上の神が地におきわすれたものかも知れない- 石はぢいつと何事かかんがへてゐる。 そこに大なる神の意思があり、 神の無限のいのちがある。 わたしのまへにその小さき石があるのではない、 わたし自身がその小さき石のまへにあるのだ。 そしてわたしはその一ノヽれの石をすら、 手に乘せて神の世界にさゝげたくなる。

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