海邊白晝

三吉良太郎

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海は全く音響を斷つてしまつた。 靜淑な、 それでゐて他愛のない眞面目な横顏 盜笑がちらつと雲をかすめて映寫する。 測候所の靑い旗にも、 燈臺の白い斜線にも この湖の水に就いて、 動物學者と氣象學者の論爭も 近い中に聞かされるでせう。 船舶はマダムであり、 スカーラインは故人の室のやうに整頓されてゐる。 靑い汀線 浮動する四組舞踏の靑い裳裙 傍にあつて、 ぽそぽそと自語する無智な女 然かも薄着な彼女は何時も陽氣です。 三角形の底邊には飛行機がるゝと鳴り、 フラスコがあり、 魚があり、 水昌板に高周波電流を通じて、 畫は閑散な讀書の時間。 アドバルーンの靑い文字 浮囊に乘る少女の靑い水着と靑い空 晝の夢は微震動を感じて微笑んでゐる。 晝の夢は水昌板の囁きに乘つて蛤に語つてゐる。 事件のない正午。

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