季節抄(『未収録』収録・同題第1篇)

森川義信

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Ⅰ 梢が 空にとどいてゐる 美しい樹々よ 花の咲かない………… 花はなくとも ああ せめてものわが願い Ⅱ 樹々の編む 光りのハンモツクに 僕はつつましく腰をおろす 風が静かにひかるとき ゆれないハンモツクで 僕はそつと時間をみ失ふ Ⅲ 小さな口をあけて ぽくぽくと駆けてくる 波頭よ さうして 何も彼も洗ふがいい………… 貝殻の中の小さな海にも 冷い空が 匂ふやうに光る Ⅳ 青い塔の半円形も消え 匂ひの向ふへ花がこぼれた 重たい風船のやうに暗い秋の陽が 落ちてしまつて………… ひと掬ひの歌もない 海よ 貨物船よりもぢつとして お前を視てゐる僕 (〈13年〉十一月讃岐にて)

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