じゃがたらぶみ
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ここはいづこ じやがたら島の
卯月ついたち しののめに
髮ほのあかく 肌白き
阿蘭陀だねの 乙女子が
わするるまなき 母の國へ
あすは出舟と きくほどに
ともし火すごすごと かかげつつ
淚につづる 筆のあと
三とせまへわがふる里をはなたれて
身をうき草の流れよる
こと國にかはらぬものとては
月日の光ばかりぞと
ひるは日のいづるかたを眺め
よるは月のいづるかたをながめて
袖のかわくまも御座なく候
ただひとたび神や佛のおんあはれみにて
日本へ歸り申すべしとこそ思ひ候へ
たとひ三日をすぐしはべらで消えはてまゐらせ候とも
いささかくるしからず
とかく末は日本の土となり候はんとぞんじまゐらせ候
あはれあはれいまいちど御けんにいり申したく
くれぐれ念願にて御座候
もしまたこの世にて逢ひ申さず候はば
わが身かねがね申したるごとく
友だちは七世の契と承り候へば
かならずかならず來世にめぐりあひ申すべく候
げにげに御かたみの短尺をし鳥の羽など
かたときも身をはなし申さず持ちまゐらせ候
これをしるしにてめぐりあひ申すべく候
あまり日本の戀しくてやるかたなき折ふしは
あたりの海原をながめ候よりほかは御座なく候
せめてもの思ひ出ぐさに
松かさ この手がしはのたね
杉の種 はうき草の種
御いんしんたのみまゐらせ候
あら日本こひしや なつかしやと
波路はるけき 夷の島にして
あはれや 十七乙女が
思ひかね 戀ひかぬる
しどろもどろの じやがたらぶみ
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