無題(『未収録』収録・同題第1篇)
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月青く人影なきこの深夜
家々の閨をかいま見つゝ
白き巷を疾くよぎる侏儒の影あり
愚かなる状して黒々と立てる屋根の下に
臥所ありて人はいぎたなく眠れり
家々はかく遠く連なりたれど
眠の罪たるを知るもの絶えてあらず
月も今宵その青き光を恥ぢず
快楽を欲する人間の流す
いつはりの涙に媚ぶと見えたり
かゝる安逸の領ずる夜なれば
あらんかぎりの男女の肌を見んとて
魔性の侏儒は心たのしみ
おもはゆげもなく軒より軒へ
白き巷をよぎりゆくなり
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