第1回目の講座終了

8月6日に記念すべき第一回の講座を行いました。様子は以下をご覧ください。


西原先生より、連続講演「戦後スタンダード詩を読む」第1回2023年8月6日終了にあたってメッセージを頂戴致しました。

 記念すべき第1回は、大変充実した会になりました。講師としてとても喜んでいます。テキスト『日本名詩選3』(笠間書院)から2篇を読みました。
1篇目は原爆の詩、栗原貞子「生ましめん哉」です。口語自由詩なのになぜ末尾3行だけが文語になってしまうのか。なぜ存在しない「ローソク」「マッチ」に言及しているのか。事実を淡々と書いたように見える詩も、実はしっかりした技術に裏付けられています。
2篇目は、伊東静雄「夏の終り」。教科書によく出る作品です。台風一過の景色を描いた詩ですが、詩人の悲惨な青春を念頭に読み返すと、全く違う意味が見えてきます。作者の人生をどこまで解釈に盛り込むべきか。参加者から様々な意見が出ました。
1回2時間のこの講座では、「わかりやすくてためになる」読みを目指しています。

次回に向けてのメッセージ

 連続講演第2回目となる8月20日(日)は、テキスト『日本名詩選3』(笠間書院)の7~12作目の6点から、参加者が選んだ2篇の詩を取り上げます。どれも昭和20年代の作品です。「読めばわかる」やさしい詩は、どこに注目すれば良いのでしょうか? 支離滅裂に見える難解な現代詩にも、すっと読み解くための鍵があります。優れた名詩を読みながら、人生について、社会について、自然について、語り合いたいと思っています。日曜日午後の2時間の講座です。是非ご参加下さい。

TAの平井よりメッセージです

詩を共同で読むとは

スタンダードとされている詩作品をみんなで読む、という試みに初めて挑戦しました。私自身詩を書いているので合評会はよくするのですが、名詩とされている作品を共同で読むことにどんな意義があるのか。
第1回で確認できたのは、「詩も伝記的情報があると読み方がまるで変わる」ということ。作品を、作者の人生や社会背景を念頭において読むことで、参加者はまったくそれまでとは別物として受け止めることができました。講師の西原先生にさまざまな伝記的情報をレクチャーいただいたおかげです。
読み手の側もそれぞれに生活経験、人生経験を抱えて集っています。いわばそれらは「読者側の伝記的情報」と言えるかもしれません。詩が作者と読者のあいだに立ち現れるものだとすれば、それぞれの人生が少しだけ交錯することによって、この場に集ったメンバーだからこその共同の読みが成立するでしょう。

とはいえこの講座では、別に参加者に人生の吐露を求めたりはしません。講師や他の参加者の話を黙って聞いているだけでもいいのです。それでも自宅や図書館で一人で読むことでは見えてこなかったものを確認できるでしょう。
詩の豊かさは解釈がたくさんあること。これまでの解釈を更新する喜びを体験しにきてください。

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