靜夜吟

土井晩翠

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夢皆深し萬象の 眠も夜も半にて 神秘の幕は垂れにけり 今は下界も聖からむ。 東の空を昇り來る 星また星に聲も無し 西の空行き沈み行く 星また星に思あり。 消えては凝ほる千萬の 露のしづくに光あり 凝りては消ゆる千萬の しづくの露に心あり。 時に微風の一そよぎ 知らず過ぎ行くたが魂か 時に流るゝ星いくつ 知らず落ち來る何の魂。 あゝ靜かなる夜の色 浮世の夢をさめいでゝ なが永劫のふところに 憂の子らを入らしめよ。

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