わがまま者の歌(八月十六日)

福士幸次郎

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自分は小供の時泣蟲といはれたが あまり泣いたことのない子だ 人が死んでも泣いたことがなかつた ただ自分が一度あまりに馬鹿だと氣がついたとき 前後を忘れて泣いた 聲も涙も一度に爆發して來た あれは二十歳位の年であつた 自分が若しこの時涙の味を知らなかつたら 一生眞に泣くといふことを知らずに過したらう 惡いものにぶつかればぶつかる程力が出る 負けがこめばこむ程力が出る 自分はそれだけ光を追うてやまない子だ 追ひ廻してやまない光の子だ つまづけば直ぐ起き上る そしてまた立直つて行く それは眼に涙がたまつてる事はあるだらう しかし自分は泣いてなんぞゐられない そんな所に片時もぐづついてゐられない疳癪持ちだ 冷酷だといふものは勝手にしろ

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