航海の歌
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南風のふく日、椰子の葉のそよぐ島をはなれて、遠く私の船は海洋の沖へ帆ばしつて行つた。浪はきらきらと日にかがやき、美麗な魚が舷側にをどつて居た。
この船の甲板の上に、私はいろいろの動物を飼つてゐた。猫や、孔雀や、鶯や、はつか鼠や、豹や、駱駝や、獅子やを乘せ、さうして私の航海の日和がつづいた。私は甲板の籐椅子に寐ころび、さうして夢見心地のする葉蘭の影に、いつも香氣の高いまにら煙草をくはへて居た。ああ、いまそこに幻想の港を見る。白い雲の浮んでゐる、美麗にして寂しげな植民地の港を見る。
かくの如くにして、私は航海の朝を歌ふのである。孤獨な思想家の VISION に浮ぶ、あのうれしき朝の船出を語るのである。ああ、だれがそれを聽くか?
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