秋の封塞
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俺は手をあげてゐる 彼奴は用意する
市街ははや秋の封塞につめたくも斜傾するよ
あの厖大な鉄の下では電波のやうによろめいて
肋骨だけの男らが貧弱に管をまいてゐる
すべてここに実在するものは海面にまで傾倒し
みづからを刺さうとする陰欝なる堆積に充ちあふれ
造船術は街角に灰緑色の皮膚を噛みくだいてゐる
恐ろしい物質の秘密をかんじ その重量を交換し
生物はほとんど幽霊について喚いてゐる
造花はいちめん舗石の上に血を流し
ああ とほく秋色殺到して
赤煉瓦
泥靴
死
雲は洋紙のやうに巻かれて高く
ひそかに横行するものは高架橋を窺がひ
光線は幾条も運搬され 吠えない犬が稀薄である
錨はすでに溶解され 百万の時計は瀝青に狂つた
≪なんにも言ふことなんぞあるもんか≫
俺は手をあげてゐる 彼奴は用意する
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