老将

逸見猶吉

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渺たる陣営のほとりにたてば にごりたつ瘴気やける霜 肉を剿つみごと山川のうつろひに せきばくたる内奥の夢も痺びれはてたり 最末人の眷属として積年ひとりこゝに曝らされ あますなき悲惨の終焉をみ送るわれぞ おゝ光なら無地とうめい乱射のなか 骨髄といふかの不覊なる情緒に過ぎ来たるわが哀傷の渇きたり 凄涼たる日のあしたにも莞爾として 鞭をなぐればわづかに虚しい影の鳴りひゞき また捲きあげる黄塵にうたれ がんとしたはるか山濤のいきづらに打ちむかふ 仰げば昇汞の天の底つねに巨いなる陥穽を愛せり われの呪ふべきかな 噴火獣の餌食とならばなるも善いかな いくたびか諸悪奴輩の憂愁に共感せるも いまにして淋漓たるものをつらぬかんと欲情せり 風に乗る硝煙は風のいやはてに絶えんとして 火の陣営に黒一色の死を混じへ なにものをもさらに混じえず かくてもわれに参加するものはあらじ

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