碎けし玉
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何もかも思へることを
云ひ出づる我にありせば
惱むとも何かあらむや
わがこゝろあまりに弱く
限りなき胸の思ひの
ひとつさへそれと云ひ得で
今日といふ日の來りけり
人知れず涙を拭きて
人知れず涙を抱きて
嫁ぎゆく君のこゝろを
如何なれば恨むを得べき
此の我に與へられたる
過ぎし日を無爲に過して
おど〓〓と握りてありし
手の中の玉は碎けぬ
今日といふ日に涙して
僞りし日の愚かさと
愚なる我を罵り
たゞひとり生きむと願ふ
いと弱き我を哀れむ
おもかげ
逢へば默する我ながら
離れてあれば殊更に
涙に日をば送るて ふ
君のこゝろを偲ぶかな
僞り多き世なれども
せめて命の有る限り
ある夜ひそかに相逢ひし
彼のおもかげを忘れめや
我が行末の途はろか
苦しく淋し途はろか
始めて言葉交したる
彼の道連れを忘れめや
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