秋のをはり

北原白秋

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腐れたる林檎のいろに なほ青きにほひちらぼひ、 水薬の汚みし卓に 瓦斯焜炉ほのかに燃ゆる。 病人は肌ををさめて 愁はしくさしぐむごとし。 何ぞ湿る、医局のゆふべ、 見よ、ほめく劇薬もあり。 色冴えぬ室にはあれど、 声たててほのかに燃ゆる 瓦斯焜炉………空と、こころと、 硝子戸に鈍ばむさびしさ。 しかはあれど、寒きほのほに 黄の入日さしそふみぎり、 朽ちはてし秋のヸオロン ほそぼそとうめきたてぬる。 四十一年十二月

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