母と子

北原白秋

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母は子に乳房与ふと、 月輪の光を額にかざすなり。 子は母の垂乳ふくむと、 そのかうべ星の息づき保つなり。 ああ、秋よ、飾りなき野辺といふとも、 かかる日の閑けさも世にはあるなり。 日かげには茗荷のしろき花咲きて、 虫の音に湧きいづる幸は満ち、 母のまみ子のまみと会ふ。 ああ、今よ、 母は子に乳をふくますと 子の父のその母のこと思ふらむ。 はたや、子は母にすがると、 その母のをさな姿の早や現れぬ。

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