樺太の山中にて

北原白秋

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尾白鷲眼を放つ梢には 横雲の縹雲ほのあかりぬ。 ああ、蒼し、黒椴のさるをがせ、 いつの日か花咲かむ、香も幽かや。 校倉よ、露西亜びとの住み棄てし小舎、 駅逓のフラフにも朱は褪せたり。 霧は飛ぶ、霧は飛ぶ、山高きに 夏もなほ気流のみ冷えまさるを。 雲の上に棲む魚よ、みづうみの鱒、 縹渺とふりあふぐ人いくらぞ。 凛として将た思ふ、カムイ・エカシ、 旅行けば我すらや神に入るなり。 註 カムイ・エカシ。   神神の祖先(アイヌ語)

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