黒ダリヤ
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烏羽玉の黒きダリヤを胸にあて
加特力の尼はなにをかゆめむらむ。
角帽子雪かとばかりわななけど、
声さへ立てず、緑玉、息をひそめし瞳こそ
精霊の日本の秋の啜泣吸ひ取る如し、泣く如し。
片恋の清きうれひに泣く人よ。
煩悩の塵うち払ひ、しづ/\と入日のかたに歩みつゝ、
冷やかに尼のごとくも涙せよ。
紅びろうどのいと黒き
つや/\と胸のあたりに光るとき。
四十四年十月
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