韮の葉

北原白秋

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芝居小屋の土間のむしろに、 いらいら沁みるものあり。 畑の土のにほひか、 昨日の雨のしめりか。 あかあかと阿波の鳴門の巡禮が 泣けば…………ころべば…………韮の葉が………… 芝居小屋の土間のむしろに、 ちんちろりんと鳴いづる。 廉おしろひのにほひか、 けふの入り日の顫へか、 あかあかと、母のお弓がチヨボにのり 泣けば…………なげけば…………蟲の音が………… 芝居小屋の土間のむしろに 何時しか沁みて芽に出る まだありなしの韮の葉。

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