男の顏

北原白秋

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ふと見てし男の顏は 夜目ながら赤く笑ひき。 そことなく、囃子きこえて 水祭ふけし夜のほど、 乳母の背にわれねむりつつ、 見るとなく彼を憎みぬ。 その顏は街の灯かげを、 あかあかと歩みつつあり。 乳母もさは添ひてかたりぬ。 かくて世にわれただひとり。 大太皷人は拊ちつけ 後より絶えず戲けて 嘲りぬ。――われは泣きにき。

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