立秋(『邪宗門』収録)

北原白秋

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憂愁のこれや野の国、 柑子だつ灰色のすゑ 夕汽車の遠音もしづみ、 信号柱のちさき燈 淡々とみどりにうるむ。 ひとしきり、小野に細雲。 南瓜畑北へ練りゆく 旗赤き異形の列は 戯けたる広告の囃子 賑やかに遠くまぎれぬ。 うらがなし、落日の黄金 片岡の槐にあかり、 鳴きしきる蜩、あはれ 誰葬るゆふべなるらむ。 三十九年八月

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