接吻の時
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薄暮か、
日のあさあけか、
昼か、はた、
ゆめの夜半にか。
そはえもわかね、燃えわたる若き命の眩暈、
赤き震慄の接吻にひたと身顫ふ一刹那。
あな、見よ、青き大月は西よりのぼり、
あなや、また瘧病む終の顫して
東へ落つる日の光、
大ぞらに星はなげかひ、
青く盲ひし水面にほ薬香にほふ。
あはれ、また、わが立つ野辺の草は皆色も干乾び、
折り伏せる人の骸の夜のうめき、
人霊色の
木の列は、あなや、わが挽歌うたふ。
かくて、はや落穂ひろひの農人が寒き瞳よ。
歓楽の穂のひとつだに残さじと、
はた、刈り入るる鎌の刃の痛き光よ。
野のすゑに獣らわらひ、
血に饐えて汽車鳴き過ぐる。
あなあはれ、あなあはれ、
二人がほかの霊のありとあらゆるその呪咀。
朝明か、
死の薄暮か、
昼か、なほ生れもせぬ日か、
はた、いづれともあらばあれ。
われら知る赤き唇。
四十一年六月
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