尿する和蘭陀人
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尿する和蘭陀人…………
あかい夕日が照り、路傍の菜園には、
キヤベツの新らしい微風、
切通のかげから白い港のホテルが見える。
十月の夕景か、ぼうつと汽笛のきこゆる。
なつかしい長崎か、香港の入江か、葡萄牙?佛蘭西?
ザボンの果の黄色いかがやき、
そのさきを異人がゆく、女の赤い輕帽…………
尿する和蘭陀人…………
そなたは何を見てゐる、彎曲の路から、
斷層面の赤いてりかへしの下から、
前かがみに腰をかがめた、あちら向きの男よ。
わたしは何時も長閑な汝の頭上から、
瀟洒な外輪船の出てゆく油繪の夕日に魅せられる。
病氣のとき、ねむるとき、さうして一人で泣いてゐる時、
ほんのしばらく立ちどまり、尿する和蘭陀人のこころよ。
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