燒栗のにほひ

北原白秋

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玉乘の兒よ、戲奴よ、身振をかしき鈴振よ。 また、いはけなき曲馬の兒、 赤き上着にとり澄ます銀笛吹きの童らよ。 げにげに汝ら、しをらしく、あるはをかしく、おもしろく、 戲れ浮かれて鄙びたる下司のしらべに忘るれど、 いづこともなき燒栗の秋のにほひを嗅ぐときは 物思ふらむ、嘆くらむ、かつは涙もしたたらむ。 すべり轉がる玉の上に、暗き樂屋に、 汗臭き馬の背に、道化芝居の花道に、 玉蜀黍を噛みしむる、收穫の日の 盲目のわかき女に見るごとく、 物の哀れをしみじみと思ひ知るらむ、淺艸の秋の匂に。

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