北村初雄

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僕は未だ年齡を取らない。 でも僕は赤坊になつて仕舞つた。 僕は兩親を もつて居る。 乳母の唄が輝やいて、 僕の夢は溫たかい。 僕はずんずん年齡を取つて行く。 僕は子供になつて仕舞つた。 僕は玻璃 の笛を持つて居る。 日は眞白に輝いて、 僕の背中が溫たかい。 僕はずんすん年齡を取つて、行く。 僕は少年になつて仕舞つた。 僕は錫製 せい 13 の犀の玩具を持つて居る。 印度の砂が輝いて、 僕の踵が溫たかい。 僕はずんずん年齡を取つて行く。 僕は靑年になつて仕舞つた。 僕は一つ の手紙を持つて居る。 愉快な顏が輝やいて、 僕の心が温たかい。 僕はずんずん年齡を取つて行く。 僕は壯年になつて仕舞つた。 僕は可愛 い赤坊の聲を持つて居る。 白い頭布が輝いて、 僕の額は溫たかい。 僕はずんずん年齡を取つて行く。 僕は老人になつて仕舞つた。 僕は大き い手やら小さい手やらで組れる大きな環をば持つて居る。 限りない空が輝 いて、 僕の全身が温たかい。 僕はもう年齡を取らない。 到頭僕は死んで仕舞つた。 僕は毎日種々な新 禱の聲を持つて居る。 この快活な魂が輝いて、 僕の灰は温たかい。

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