本土の港を指して

今野大力

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津軽の海風は 暮れ行く夕日の彼方へと連絡船を冷たく吹き送る 桟橋に立ち去り兼ねて見送る人々とも別れて 身をマントに包み 頬をうずめて 物蔭甲板に佇めば 防波堤に点る明滅の灯火も見えずなり 巍然たる函館山の容姿も 次第に海をへだてて 水夫の投げこんだ速度計の速めらるるままに 闇の中に失われゆく かくて海峡の海は次第に荒く 空よりは白き贈り物音もなく 真闇の中に降り来り、海に消え マストに積る 船は船底にひびくエンジンの音と 波を切り進む海路の跡をしばし残して ひたすらに蜜柑の木々実る本土の 最北端の港 青森へと馳る

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