東方の窓辺にて

今野大力

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私のいる家の東方に窓があった 私は農家の二階に間借りして幾十日かを過す身であった 私は自分の起居に不自由の身をそこに運び、 ひたすら、健康の日を恋していたのである、 かがやく健康の美しさは私の希望であった 私は東方に追憶の瞬間を持つ 私の室の東方の窓はそこへの視野を展開している ハコネの連山は眺望の彼方にある 山脈の起伏は無言に昨日も今日も変りはないが ただ風に送られる雲の往来と空色の変化とを発見する、 雲の彼方 橙色の空の下 朝となれば朝焼け 夕べとなれば夕焼け 真紅に輝く折々の熱情は 私の病める身になおも燃えんとする 私は今東方の窓辺に佇む 私は一人の妻を想うのみであろうか、 私はただ昨日の日にきれいな煙を吐きかけるのみであろうか 私の胸には 決してたゆることなき未来への希望が 決して消えることなき新らしき日本の姿が この窓を通し 多くの同志への信頼の中に燃えつつあるを発見する

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