野
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蟋蟀堂にあり、歳聿にそれ莫れぬ 国風
――あれだ。
ドオデエも「風車小屋だより」のなかにかいておいた、あの蝗の大群。……こいつは、まつたくあれに似た凄じさだ。天日を陰くして薨々とむらがり飛ぶ、斯螽。索々と鳴る、その翅音。耿々とひかりうすれる、落日。さうだ、そのなかをとぶ神杖。酒袋。あゝコップ。
一天の景は、寒く、こころを憑り秉つて、歎きの科を強ひる。――わたしはその群る虫に、その虫の歌に、汎として泛き流れるサモス派の船である。…
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