正富汪洋

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凉風が釣鐘草を吹き、 櫟の樹々に戯れて、 指の股にも入つてくれば、 想ひ出すのは草ツ原で、 君に、 はじめて囁いて、 顏を覆つてる其の手をば、 引いて握つたら、 避けないで、 握りかへした其の感じ。 彼のレオナルド、 ダヰンチが、 〓いたモナ、 リザの手の甲の まるみを有つた手の感じ。 あ〓、 今、 其處を過去つて、 乾草多い野の方へ、 去つた男女の握つてる、 手には歡喜が踊らうが 私は、 さびしう唯ひとり、 夕暮の丘を下つてる。

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