月夜の悲しみ
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靜かなる冬の木立に
月光は頭 を垂れぬ。
風もなし、
かかる一夜、
森に續けるほの白き路のかたへを
何處へか······はた、 いづこより······馬車ぞ走れる。
うるはしく黑き馬車ただひとつ
都はづれの近郊の月夜の路を-
をりから響森に入れば
行手には嵐かすかに·····
また聞く、 荒き水の音の
そことしもなく歎けるを。
夢を、 うつつを、 かくてただ
音樂のごと月光は森を照せり。
聽きとれよ······
そのひびき、
知れよ······わが
心の在處。
靑ずみわたる冬の空、
その靜けさに君はあり、 我はあり
嵐の或は歎かひの
水の音の中に君を聽く、 み なか 我を聽く。
なほも消え消え馬車の音の
胸を野原を近郊を月ふる中を
うかび駛りつ、 はてしなし。
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