おんたまを故山に迎ふ

三好達治

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

ふたつなき祖國のためと ふたつなき命のみかは 妻も子もうからもすてて いでまししかの兵ものは つゆほども かへる日をたのみたまはでありけらし はるばると海山こえて げに 還る日もなくいでましし かのつはものは この日あきのかぜ蕭々と黝みふく ふるさとの海べのまちに おんたまのかへりたまふを よるふけてむかへまつると ともしびの黄なるたづさへ まちびとら しぐれふる闇のさなかに まつほどし 潮騷のこゑとほどほに 雲はやく 月もまたひとすぢにとびさるかたゆ 瑟々と樂の音きこゆ 旅びとのたびのひと日を ゆくりなく われもまたひとにまじらひ うばたまのいま夜のうち 樂の音はたえなんとして しぬびかにうたひつぎつつ すずろかにちかづくものの 莊嚴のきはみのまへに こころたへ つつしみて うなじうなだれ 國のしづめと今はなきひともうなゐの 遠き日はこの樹のかげに 鬨つくり 讐うつといさみたまひて いくさあそびもしたまひけむ おい松が根に つらつらとものをこそおもへ 月また雲のたえまを驅け さとおつる影のはだらに ひるがへるしろきおん旌 われらがうたの ほめうたのいざなくもがな ひとひらのものいはぬぬの いみじくも ふるさとの夜かぜにをどる うへなきまひのてぶりかな かへらじといでましし日の ちかひもせめもはたされて なにをかあます のこりなく身はなげうちて おん骨はかへりたまひぬ ふたつなき祖國のためと ふたつなき命のみかは 妻も子もうからもすてて いでまししかのつはものの しるしばかりの おん骨はかへりたまひぬ

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

おんたまを故山に迎ふの談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

おんたまを故山に迎ふに寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる