恐怖

室生犀星

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道をたづねてきたひとが ひと晩に三度もやつてきた 三度ともわたしはそれを教へた 暗い晩で 雲がさかんに寒ぞらに走つて 砥ぎ出された星がいくつも輝いてゐた その人はその晩はさすがに最う來なくなつた しかし私はどうしても來るやうな氣がした 暗い星ぞらをみてゐると ぬかつてゐる道をあるいてゐるその人が見えるやうな氣がした わたしは机にもたれては 聞耳を立ててからだを凝らしてゐた もしやその人がふいに來はしないかと 胸がどきつくほど落ちつかなかつた 窓はいくども開けてみた 暗さが、暗さを折りかさね窓につづいてゐた たうとうその人は來なかつた

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