坂(『抒情小曲集』収録・同題第2篇)
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この坂をのぼらざるべからず
踊りつつ攀らざるべからず
すでに桜はしんじつを感じて
坂のふた側に佇ちつくせども
ひざんなる室ぬちにかへらねばならず
日としてわが霊
しほらしからざりしことはなけれど
ただ坂の上をおそる
いまわが室は寂として
かへらむとするわが前に
鼠を這はしめんとするか
ああわがみじめなる詩篇を携ち
悄として
されど踊りつつ坂をのぼらざるべからず
坂は谷中より根津に通じ
本郷より神田に及ぶ
さんとして
眼くらやむなかに坂はあり
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