窓の禽

永井荷風

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うぐひすのまた来て鳴きぬ窓の竹。 去年来て鳴きしもこの鳥か。 春くるごとにをととしも 先をととしもわが窓に 来て鳴く声のおなじきに 思へば二十とせこの家に 文読むわが身はかはりけり。 わが身のみかは世のさまも かはりかはりて古きもの 今は跡なく消えんとす。 あはれ鶯 いづこより来ていづこに去るや。 さすらひの定め知られぬ身ながらも うたふ調の年ごとに かはりなきこそめでたけれ。 人のこゝろもかくぞあれ。 わがこゝろ、わがおもふ人の心。 願はくはかくぞあれかし わが窓に鳴く小禽の如くに。

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