山の手

永井荷風

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山の手の昼ぞさわがしき。 山の手のわが家の垣にさく花は 砂利ひく車の地響に しづ心なく散りて落つ。 山の手の夜ぞおそろしき。 山の手の空に鳴りわたる鐘の音に、 わが机の上のともし火は ゆらめき動きて消えんとす。 山の手の年月はさびしく悲し。 もの言はば唇さむく吹く風に かたくも窓をとざしてあれば。

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