縁側

野口雨情

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彼はお針をしてゐる妻君に 爪の伸びた手を出して 鋏を借せと云つた 鋏は妻君の膝のあたりにある 若い妻君は 彼の手を眺めるやうに見て 笑ひながら 鋏をとつて渡した 彼は日の當つてゐる緣側に胡座をかいて パチリ〓〓切り初めた 爪は遠くまで飛んで 皆んな庭の上に落ちる 妻君はそーつと彼の後に來て 顏を覘いてゐた 彼は爪の奇麗になつた手を出して見せた 若い妻君は默つて立つて笑つてゐる

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