酒場と憂鬱

小熊秀雄

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酒場の時計は陰気な時計だ この卓子をひつくり返して了へ コップが 途方もなく臆病な金切り声をたてゝ壊れ 白い洋食皿が げらげら笑つて壊れた ソース瓶のソースの色が 俺の腐つた血によく似た色だ    × いつでも いつでも 俺の顔をじろじろみる 卓子のもくめの奴がしやくに障る まあよい……まあよい 俺は機嫌をなほして 五色の酒をつくらう そしてはにかんだ女のやうにうつむいて そつと呑まう    × あれあれ この室の中のお月様は 妙に青白いお月様だ 俺の舌をビフテキにして 刃のない洋刀で ちび/″\刻んで喰ひたいものだ

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