淡月梨花の歌

佐藤春夫

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こはこれわが未だをとめなりし頃のうつし繪なり。さらば、げに君にこそはおくらめ。をかしき姿をな笑ひそ。ゆめ、人にな示しそ。心せよ、わが片身なるものを。かく言ひて、人のひそかにわれに與へたるひとひらの紙の上には、手に團扇もちて立てる舞姫姿の君ありき。ながめ入りつつ、さてわが言ひ出でし言葉は癡にして歌に似たりき。 かなしく白くうつくしく わが心こそそぞろなれ。 あはでむなしく過ぎにける 汝がむかしこそ憾なれ。 夕月あはき梨花にして 汝が立てるこそ切なけれ。 ああかかる日に君をみて かたりし人ぞ嫉ましき。

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