樹の間のまぼろし(『泣菫詩抄』収録)

薄田泣菫

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葉こそこぼるれ、神無月 かかる日なりき、 黄櫨の木かげに俯居して、 戀がたりする人も見き。 葉こそこぼるれ、午さがり、 かかる日なりき、 かたみに人は擁きあひ、 接吻にこそ醉ひにしか。 葉こそこぼるれ、そのかみの 二人のひとり、 ふとありし日のまぼろしを 吾かのさまに見惚けぬる。

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