膃肭臍賣

薄田泣菫

タグを編集・提案

作品の主題・モチーフなど、対象に固有の情報を登録してください。年代・形式・表記・文学運動などの共通分類は登録できません。会員タグの追加と、正式タグの削除は、5人の支持で自動反映されます。

ログインするとタグの追加・削除を提案できます。

「これはもと擇捉島の荒海に」と 御國なまりの言葉濁「追ひとりまきし 膃肭臍、海なるぬし。」と瘠がみし 毛むくぢやらなる嬌笑つとこそよよめ。 七月の日は照り澱む路辻の 砂ぼこりする露店に「なう皆の衆、 北海の膃肭は、實に」と汗ばみし たゆげの喘ぎ「生藥、一のやしなひ。」 路の邊の柳の葉なみ萎びれて、 歎かひしずむ蔭日向、――ああ海の主、 膩肉の膂肉は厭に灰じろみ、 黒血のにじみ垢づきて、かつ膿沸きぬ。 「これなるは流産の止め。」と喉の小舌 ひきつるけはひ、咳きて「あれなるは、また おとろふる腎臟の藥、乾肉の たけり。」と言ひて、北海のまぼろし夢む。 剔りくじるまだ見ぬ海の靈獸、 小さ刀の刄にぬるる妖のしたたり。 臠の生干の色のなまぐさに、 ふとしも聞きぬ、鹹ゆき潮ざゐの音を。 つぶやきて人はも去りぬ。つむじ風 つとこそ躍れ。ほほけ立つ埃まみれに 膩肉の熱ぼる腫み、――しかすがに 心はまどふ、仄ぐらき不安の怯え。 日ぞ正午。油照りする日のしづく 食滯るる底に、肉の蒸れ※えゆく匂ひ、―― ひだるさに何とは知らず脂くさき 吹呿のまぎれ、辻賣はつぶやくけはひ。

ログインすると、この作品に自分だけに見えるメモを残せます。

批評・感想 0

作品の表現や構成を検討し、根拠を示しながら評価・講評する場所です。

まだ批評・講評はありません。

膃肭臍賣の談話

疑問や連想、ちょっとした読み方などを気軽に話せます。

まだ投稿はありません。

話題を投稿する

膃肭臍賣に寄せられた作品

詩から生まれた翻案・イラストや、朗読・解説などの関連リンクを持ち寄れます。

まだ投稿はありません。

この詩に作品を寄せる