睡蓮の歌(『泣菫詩抄』収録)
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水うはぬるむ水無月の
夏かげくらき隱り沼に、
花こそひらけ、觀法の
日を睡蓮のかた笑ひ。
しろがね色の花蕚に、
一炷のかをり焚きくゆる
蘂は、ひねもす薫習の
沼の氣に染みてたゆたひぬ。
たたなはる葉のひまびまに、
ほのめきゆらぐ未敷蓮の
ひとつびとつは後の日を
この日につなぐ願ならし。
夕となれば水がくれの
阿摩なる姫がふところに、
ひと日をやがて現想の
うまし眠りに隱ろひぬ。
沼にひとりなる法子兒の
翡翠ならで、くだちゆく
如法闇夜に睡蓮の
聖り世を誰がしのぶべき。
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