値ひがたき智恵子

高村光太郎

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智恵子は見えないものを見、 聞えないものを聞く。 智恵子は行けないところへ行き、 出来ないことを為る。 智恵子は現身のわたしを見ず、 わたしのうしろのわたしに焦がれる。 智恵子はくるしみの重さを今はすてて、 限りない荒漠の美意識圏にさまよひ出た。 わたしをよぶ声をしきりにきくが、 智恵子はもう人間界の切符を持たない。 昭和一二・七

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