高村光太郎

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工場の泥を凍らせてはいけない。 智恵子よ、 夕方の台所が如何に淋しからうとも、 石炭は焚かうね。 寝部屋の毛布が薄ければ、 上に坐蒲団をのせようとも、 夜明けの寒さに、 工場の泥を凍らせてはいけない。 私は冬の寝ずの番、 水銀柱の斥候を放つて、 あの北風に逆襲しよう。 少しばかり正月が淋しからうとも、 智恵子よ、 石炭は焚かうね。 大正一五・二

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