譬喩

上田敏

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主は讚むべき哉、無明の闇や、憎多き 今の世にありて、われを信徒となし給ひぬ。 願はくは吾に與へよ、力と沈勇とを。 いつまでも永く狗子のやうに從ひてむ。 生贄の羊、その母のあと、從ひつつ、 何の苦もなくて、牧草を食み、身に生ひたる 羊毛のほかに、その刻來ぬれば、命をだに 惜まずして、主に奉る如くわれもなさむ。 また魚とならば、御子の頭字象りもし、 驢馬ともなりては、主を乘せまつりし昔思ひ、 はた、わが肉より穰ひ給ひし豕を見いづ。 げに末つ世の反抗表裏の日にありては 人間よりも、畜生の身ぞ信深くて 心素直にも忍辱の道守るならむ。

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