岩陰に

上田敏

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一 嗚呼、物古りし鳶色の「地」の微笑の大きやかに、 親しくもあるか、今朝の秋、偃曝に其骨を 延し横へ、膝節も足も、つきいでゝ、漣の 悦び勇み、小躍に越ゆるがまゝに浸たりつゝ、 さて欹つる耳もとの、さゞれの床の海雲雀、 和毛の胸の白妙に囀ずる聲のあはれなる。 二 この教こそ神ながら舊るき眞の道と知れ。 翁びし「地」の知りて笑む世の試ぞかやうなる。 愛を捧げて價値あるものゝみをこそ愛しなば、 愛は完たき益にして、必らずや、身の利とならむ。 思の痛み苦みに、卑しきこゝろ清めたる なれ自らを地に捧げ、酬は高き天に求めよ。

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