嗟嘆

上田敏

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靜かなるわが妹、君見れば、想すゞろぐ。 朽葉色に晩秋の夢深き君が額に、 天人の瞳なす空色の君がまなこに、 憧るゝわが胸は、苔古りし花苑の奧、 淡白き吹上の水のごと、空へ走りぬ。 その空は時雨月、清らなる色に曇りて、 時節のきはみなき欝憂は池に映ろひ 落葉の薄黄なる憂悶を風の散らせば、 いざよひの池水に、いと冷やき綾は亂れて、 ながながし梔子の光さす入日たゆたふ。 物象を靜觀して、これが喚起したる幻想の裡、自から心象の飛揚する時は「歌」成る。さきの「高踏派」の詩人は、物の全般を採りて之を示したり。かるが故に、其詩、幽妙を虧き、人をして宛然自から創作する如き享樂無からしむ。それ物象を明示するは詩興四分の三を沒却するものなり。讀詩の妙は漸々遲々たる推度の裡に存す。暗示は即ちこれ幻想に非らずや。這般幽玄の運用を象徴と名づく。一の心状を示さむが爲、徐に物象を喚起し、或は之と逆まに、一の物象を採りて、闡明數番の後、これより一の心状を脱離せしむる事これなり。 ステファンヌ・マラルメ

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