冬晴
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今日もよい冬晴、
硝子障子にさし入るのは
今、午前十時の日光、
おまけに暖炉の火が
適度に空内を温めてゐる。
わたしは平和な気分で坐る。
今日一日外へ出ずに済むことが
なんとわたしを落ち著かせることか。
でも為事が山を成してゐる、
せめてこの二十分を楽まう。
硝子越しに見る庭の木、
みな落葉した裸の木、
うす桃色に少し硬く光つて、
幹にも小枝までにも
その片面が日光を受けてゐる。
こんな日に何を書かう、
論じるなんて醜いことだ。
他に求める心があるからだ。
自然は求めてゐない、
その有るが儘に任せてゐる。
わたしは此のひまに歌はう、
冬至梅に三四点の紅が見える、
白い椿も咲きはじめた、
花の頬と香りの声で
冬の日にも自然は歌つてゐる。
裸の木の上には青空、
それがまろく野のはてにまで
お納戸いろを垂れてゐる。
二階へ上がつたら
富士もまつ白に光つてゐよう。
風が少しある、
感じやすい竹が挨拶をしてゐる。
あたたかい室内で
硝子ごしに見ると、
その風も春風のなごやかさである。
苛酷な冬の自然にも
こんな平和な一日がある。
師走の忙しさは嵐の中のやうだ、
それは人間のこと、
自然は今、息を入れて休んでゐる。
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