一とせ

与謝野晶子

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能はずとせしことなれど、 怪しく此処に得たりけれ。 おのれの死にて亡き後の、 世をば一とせ我れの見る。 能はずとして思ひし日、 これさへ色と彩ありて、 与らぬをばさびしやと、 羨しやと、泣かれたり。 見るべからざる物を見て、 寂しく時を送りぬと、 君見て云はん後もなし、 虚無の世界のことなれば。

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