〔無題〕(『晶子詩篇全集拾遺』収録・同題第11篇)

与謝野晶子

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来て寝やしやんせ、三本木。 前の河原に脊の高い、 青い蓬のあひだから、 ちよ、ちよ、ろ、ちよ、ちよ、ろと水が鳴る。 来て寝やしやんせ、三本木。 知恩院の鐘がどんよりと 曇る月夜に鳴る晩は 前の河にも花が散る。 来て寝やしやんせ、三本木。 祇園の夢を見残して ひとり千鳥を聞く夜さは しんぞ恋路が悲しかろ。 来て寝やしやんせ、三本木。 あの鳴る鐘は黒谷の 松に涼しい明の鐘。 お目が覚めたぢやないかいな。

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